米 Rolling Stone誌より、音楽評論記事を翻訳してご紹介します(アルバムの評)
PIANO MAN
By JACK BRESCHARD
MARCH 14, 1974
ビリー・ジョエルの音楽は、より確固たる地位を築いた他のアーティストと比較すると、分が悪い評価を受けてきた。彼のバンド「ハッスルズ(Hassles)」はヴァニラ・ファッジやラスカルズの亜流に過ぎず、「アッティラ(Attila)」での活動はリー・マイケルズの作品に及ばず、唯一の小ヒット曲も安っぽいポップソングだった。しかし、ロサンゼルスのうらぶれた地区にあるピアノバーでの最近の演奏活動が彼に新たな視点をもたらし、アルバム『ピアノ・マン(Piano Man)』には、新たな真摯さと音楽的な柔軟性が反映されている。そのプロダクションはエルトン・ジョンを彷彿とさせ、音楽にはデヴィッド・アクルスのようなショー・チューン(ミュージカル風)の雰囲気が漂う。だが、ここに収録された10曲の新曲は、より成熟し、かつての焦燥感が消えたミュージシャンの姿も提示している。
ジョエルの傑出した楽曲は、彼の周囲の人々について雄弁に語っている。細部への鋭い観察眼が、B級映画の登場人物のようなキャラクターたちに血肉を通わせているのだ。「サムウェア・アロング・ザ・ライン(Somewhere Along the Line)」には、このアルバムで最も簡潔かつ核心を突いた洞察が込められており、気取った戯言に陥ることなく、哲学的な思索を展開している。「キャプテン・ジャック(Captain Jack)」は、アメリカの典型的な田舎町(ヒックスヴィル)出身でありながら退廃的な生活を送る、中産階級のヒップスターの、無感動で単調な郊外生活を描き出している。
他者を描写する巧みな手腕を持つ一方で、ジョエル自身は、ありのままの自分と折り合いをつけられずにいるようだ。表題曲では、常連客の姿を通して「ピアノ・マン」という人物像を映し出そうとしているが、ジョエルは自身の内面を十分に描き出すことには失敗している。また、「ビリー・ザ・キッドのバラード(The Ballad of Billy the Kid)」のように、歌手としての剥き出しの自我が、客観的であろうとする視点を台無しにしてしまう場面もある。
マイケル・スチュワートによるプロダクションとマイケル・オマーティアンによるアレンジは、重厚かつ思慮深く、優れたスタジオ・ミュージシャンを起用してジョエルの鍵盤テクニックを最大限に引き立てている。スチュワートが「音の壁(ウォール・オブ・サウンド)」を急激に構築しすぎて、本来なら力強いドラマ性を生み出せたはずの展開を盛り下がらせてしまうこともあるが、ビリー・ジョエルの熱意と音楽に対する率直な姿勢が全体をまとめ上げ、作品を快活に前進させている。
(記事文章終わり)
Billy Joel – Piano Man の歌詞和訳
[verse]
It’s nine o’clock on a Saturday
The regular crowd shuffles in
There’s an old man sittin’ next to me
Makin’ love to his tonic and gin
He says, “Son, can you play me a memory?
I’m not really sure how it goes
But it’s sad and it’s sweet, and I knew it complete
When I wore a younger man’s clothes”
土曜日の夜9時ともなると
店の常連たちがノロノロと入ってくる
僕の隣には老人が座っていて
いつものジントニックを愛おしく味わっている
彼が言う、「そこの若いの、思い出の曲をひとつ頼む」
僕はどう弾いたらいいか分からないが
だけど、悲しくて、優しくて、
僕がもっと若い服を着ていた頃は
ちゃんと弾けたんだ
[hook]
La, la-la, di-di-da
La-la, di-di-da, da-dum
[chorus]
Sing us a song, you’re the piano man
Sing us a song tonight
Well, we’re all in the mood for a melody
And you’ve got us feelin’ alright
俺たちに歌を歌ってくれ、君、ピアノマン
今夜は、俺たちに歌を歌ってくれ
みんな、メロディーに浸りたい気分なんだ
君の演奏でいい気分なんだ
[verse]
Now John at the bar is a friend of mine
He gets me my drinks for free
And he’s quick with a joke, or to light up your smoke
But there’s some place that he’d rather be
He says, “Bill, I believe this is killing me”
As a smile ran away from his face
“Well, I’m sure that I could be a movie star
If I could get out of this place”
バーで働くジョンは僕の友達
彼は僕にドリンクをただで飲ませてくれる
彼は冗談も素敵だし、客のタバコに火を付けるのも上手
だけど、彼にはここよりももっと行きたい場所がある
彼は言う、「ビル、俺はこのままじゃだめなんだ」
微笑みが彼の顔から消え失せて
「ここから抜け出せれば、映画スターになれたはずなんだ」
[hook]
Oh, la, la-la, di-di-da
La-la, di-di-da, da-dum
[verse]
Now Paul is a real-estate novelist
Who never had time for a wife
And he’s talkin’ with Davy who’s still in the navy
And probably will be for life
And the waitress is practicing politics
As the businessmen slowly get stoned
Yes, they’re sharing a drink they call loneliness
But it’s better than drinkin’ alone
ポールは不動産を営む小説家
妻をもらう暇はなかった
彼はいまだ海軍にいるデイビーと話をしている
たぶん、一生そのまんまだろう
ウエイトレスは政治の話題に明け暮れて
ビジネスマンは徐々に酔いが回る
そうなんだ、彼らは孤独という名のドリンクを分かち合う
だけど、それは一人で飲んでいるよりましなんだ
[chorus]
Sing us the song, you’re the piano man
Sing us a song tonight
Well, we’re all in the mood for a melody
And you’ve got us feelin’ alright
俺たちに歌を歌ってくれ、君、ピアノマン
今夜は、俺たちに歌を歌ってくれ
みんな、メロディーに浸りたい気分なんだ
君の演奏でいい気分なんだ
[verse]
It’s a pretty good crowd for a Saturday
And the manager gives me a smile
‘Cause he knows that it’s me they’ve been comin’ to see
To forget about life for a while
And the piano, it sounds like a carnival
And the microphone smells like a beer
*And they sit at the bar and put bread in my jar
And say, “Man, what are you doin’ here?”
常連たちでけっこう混み合う土曜日
マネージャーも僕に微笑みかける
常連たちが来て目当てにするのは僕だと分かっているから
束の間でも、日常を忘れて
ピアノはカーニバルのごとく鳴り響く
マイクはビールの匂いがして
彼らはバーに座って、僕の瓶に小銭を入れてくれる
そして言うんだ、「やあ、何を弾いてるんだ?」
*And they sit at the bar = バーに腰掛けて
「バー」という由来は、もともと椅子としてバー(横木)をカウンターに置いて
横木に皆が並んで腰掛けて酒を飲んでいたもので、そこから「バー」と呼ぶようになった。
[hook]
Oh, la, la-la, di-di-da
La-la, di-di-da, da-dum
[chorus]
Sing us the song, you’re the piano man
Sing us a song tonight
Well, we’re all in the mood for a melody
And you’ve got us feelin’ alright
俺たちに歌を歌ってくれ、君、ピアノマン
今夜は、俺たちに歌を歌ってくれ
みんな、メロディーに浸りたい気分なんだ
君の演奏でいい気分なんだ
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翻訳 Temperamental Instrument The Flute
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翻訳はリーダーズ英和辞典(研究社)及び リーダーズ・プラス(研究社)を基本としています
