アメリカRolling Stone誌より、音楽評論記事を翻訳してご紹介します
The River
By Paul Nelson
December 11, 1980
美しさには何か問題がある――君は知らないのか?もしそれが心の中に留まり、世界に触れなければ、それでいいのに。しかし、それは君の心に入り込み、君を燃え上がらせる。燃え盛る炭を心に受け入れて、燃えずにいられるだろうか?
―― Jonathan Valin, Final Notice ジョナサン・ヴァリン、『ファイナル・ノーティス』
ブルース・スプリングスティーンの『The River』は、現代版ニュージャージー版『怒りの葡萄』と言えるだろう。トム・ジョード(ヘンリー・フォンダ)は、もはや家族の絆に頼ることもできず、盗んだ車でネオン輝くダストボウルを走り抜ける。「この暗闇の中で、僕は消えてしまうのではないか」という恐怖に怯えながら。そして、彼はしばしば実際に消えてしまうのだ。
『The River』は、『Born to Run』(1975年)で勢いよく始まり、『Darkness on the Edge of Town』(1978年)でペースを落とした三部作の集大成であるため、重厚な結論や人生の教訓となる言葉を期待するかもしれない。まあ、必要なら、それらは確かにそこにあります。そして、それらは並外れた温かさを持ちながらも、厳しい人生経験を経てきた用心深い人物からしか生まれ得ない、類まれな常識と知性に満ちています。
例えば、こんな歌詞があります。「絆を断ち切ることはできない/絆を捨てることはできない」。あるいは、「二つの心は一つより優れている/二つの心があれば、仕事はやり遂げられる」。あるいは、「誰もが休む場所を必要としている/誰もが家を持ちたいと思っている…/誰も一人でいたいとは思わない」。
Eストリート・バンドの情感豊かな音楽伴奏や、ブルース・スプリングスティーンの容赦ない感情的な歌声を抜きにして、文脈を無視して引用すると、これらの歌詞は信じられないほどシンプルでありながら力強いものに聞こえます。宇宙的な響きはあまりありませんが、何らかのスローガンを壁に貼り付ける必要性を感じるなら、これで十分でしょう。そうすれば、あなたはただ座ってそれを見つめ、アルバムの真髄、ひいてはその規模を見逃してしまうでしょう。
ここでは、スケール、文脈、構成、そして雰囲気がすべてだ。ブルース・スプリングスティーンが集大成となるアルバムに『The River』というタイトルをつけたのには理由がある。歌詞を少しだけ耳にする程度では、完全な没入感を得ることはできない。
それぞれの曲はバケツの中の一滴に過ぎず、そのバケツの水は、速くも爽快な旅へと誘う川(“Sherry Darling,” “Out in the Street,” “Crush on You,” “I’m a Rocker”)、激流に打ちのめされる川(“Hungry Heart”),夢見るように川の流れに身を任せる川(“I Wanna Marry You”)、あるいは未知の郡境を越えて容赦なく流れていく川(“Jackson Cage,” “Point Blank,” “Fade Away,” “Stolen Car,” “Ramrod,” “The River,” “Independence Day”)から汲み取られている。
表面が穏やかに見えても、危険な底流には要注意だ。浅瀬で水遊びをしているつもりでも、気づけばあっという間に深みにはまってしまうかもしれない。
(記事文章終わり)
Bruce Springsteen – The River の歌詞和訳
I come from down in the valley
Where, mister, when you’re young
They bring you up to do
Like your daddy done
俺は山あいの町からやって来たんだ
その町では、若いときは
お父さんが、そうしてきたように
みんな、しつけるのさ
Me and Mary, we met in high school
When she was just 17
We’d drive out of this valley
Down to where the fields were green
俺とマリーは高校で出会った
彼女がちょうど17歳の時だった
二人でドライブして谷を抜け出し
緑の野原へ行った
We’d go down to the river
And into the river we’d dive
Oh-oh, down to the river we’d ride
俺たちは川へ降りていって
川に飛び込んだ
車で川まで降りて行ったんだ
Then I got Mary pregnant
*And, man, that was all she wrote
And for my 19th birthday
I got a union card and a wedding coat
そうして、俺はマリーを妊娠させ
これ以上言うことは無いさ
俺が19歳の時だ
組合員証とウエディングコートを手にした
*Thát’s áll she wróte. =⦅米略式⦆これでおしまいだ, これ以上言うことはない.
We went down to the courthouse
*And the judge put it all to rest
No wedding day smiles, no walk down the aisle
No flowers, no wedding dress
俺たちは裁判所へ行った
裁判官が全部片付けてくれた
結婚式の笑顔もなく、ヴァージンロードも歩かず
花もウエディングドレスも無かった
*put… to rest = …(を話題にするの)はやめにする,…のことは終わりにする
That night we went down to the river
And into the river we’d dive
Oh-oh, down to the river we did ride, ay-ay-ay
その夜、俺たちは川に降りていった
そして、川に飛び込んでね
車で川に降りていったんだ
I got a job, working construction
For the Johnstown Company
But lately there ain’t been much work
On account of the economy
俺は職を得て、建設現場で働くようになった
ジョンズタウン社でね
でも、最近はあまり仕事が無い
景気のせいだ
Now all them things that seemed so important
Well, mister, they vanished right into the air
Now I just act like I don’t remember
Mary acts like she don’t care
とても大切だと思っていたものが
空気のように消え去った
今、俺は覚えていないふりをして
マリーは気にしていないふりをしている
But I remember us riding in my brother’s car
Her body tan and wet down at the reservoir
At night on them banks I’d lie awake
And pull her close just to feel each breath she’d take
でも、俺は覚えている、兄の車に乗って二人で走ったことを
貯水池で彼女の身体が日焼けして濡れて
夜に、川べりで、俺は眠れずに横たわっていた
そして、彼女の息づかいを感じようと、彼女を抱き寄せた
Now those memories come back to haunt me
They haunt me like a curse
Is a dream a lie if it don’t come true
Or is it something worse?
今、あの記憶がよみがえって俺を苦しめる
呪いのように俺を苦しめる
夢は叶わなければ、嘘になるのか
それとも、もっと悪いものなのか
That sends me down to the river
Though I’d know the river is dry
That sends me down to the river tonight, ay-ay-ay
それが俺を川へと駆り立てるんだ
川は干し上がっていると分かっているのに
それが今夜、俺を川へと駆り立てるんだ
Down to the river
My baby and I
Oh-oh, down to the river we ride, ay-ay-ay
川に下り
俺の恋人と俺と
車に乗って、川へと下る
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翻訳 Temperamental Instrument The Flute
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翻訳はリーダーズ英和辞典(研究社)及び リーダーズ・プラス(研究社)を基本としています
