American Songwriterより音楽評論記事を翻訳してご紹介します
The Fidelity Test Within “Babooshka” by Kate Bush
By Bryan Reesman
May 29, 2024 3:45 pm
ケイト・ブッシュの「Babooshka」に込められた貞操観念の試練
著者 ブライアン・リースマン
2024年5月29日 午後3時45分
ケイト・ブッシュが有名なシングル曲「Babooshka」のタイトルを考案した際、それがポーランド語およびロシア語で「祖母」や「年配の女性」を意味する言葉であるとは全く知りませんでした。ロシア語では「babushka」と綴られ、発音も若干異なります。また、女性が顎の下で結ぶスカーフの名称でもあります。
シンガーソングライターである彼女は、自身が手掛けた力強い楽曲の登場人物名を探していました。テレビでドナルド・スワンが「Baboushka」について歌う姿を見ていたこと、そして同じ名前の猫を飼っている友人がいたことから、これは運命的な出会いのように思えたのです。
今となっては、多くのファンが「Babooshka」の意味を理解しています。ブッシュが、配偶者の誠実さを試そうとする若い女性について歌った文脈でこの言葉が使われていることを知ると、思わず笑みがこぼれることもあるでしょう。とはいえ、その知識が楽曲の魅力を損なうわけではありません。
「Babooshka」の興味深い点の一つは、ヴァースとコーラスが2回ずつしかなく、休止がないことです。繊細な響きのヴァースと派手なコーラスの対比は、物語内の感情の揺れ動きを強調しています。夫に愛されていないと感じる女性が、若い女性になりすまして誘惑的な手紙を送り、夫の誠実さを試すという内容です。彼女は本質的に、少し若く、より幸せな自分を演じ、夫がそれに乗るかどうかを試しているのです。結局、これは破滅的な計画となります。
貞操観念の試練
1980年にオーストラリアのテレビ番組『カウントダウン』で、ブッシュは「Babooshka」とその起源について次のように説明しています。「これは本当に、私が長い間魅了されてきたテーマでした。これは民謡でよく扱われるテーマに基づいており、夫の妻が彼の不貞を疑い始めるというものです。彼女の感情には確固たる根拠がなく、ほぼ妄想的な疑念に過ぎません。そこで彼女は、夫が誠実かどうか確かめるために、彼を試そうと考え始めるのです。そこで彼女は偽名、Babooshkaという名前を使い、夫に手紙を送ります。夫はその手紙に非常に好意的に反応します。なぜなら、手紙を読むうちに、数年前に幸せだった妻の姿を重ねて感じたからです。夫が気に入ったことで、彼女はさらに一歩踏み込み、夫が自分ではなくこのBabooshkaという女性にどう反応するか確かめるため、会う約束を取り付けます。
「彼が彼女と対面した時、やはり妻と酷似していたため、彼は強く惹かれました。当然ながら彼女は激怒し、曲のブレイク部分ではレストランの食器を彼に投げつけるのです…彼は彼女を深く愛しており、この楽曲の核心は人間の愚かさや無意味さ、自らの思考に囚われ妄想に駆られて完全なる偏執的な事実を作り上げてしまう点にあります。つまり彼女の状況では、実際には何も悪いことをしていない男性を疑っていたのです。彼は彼女を心から愛していました。彼女の疑念と邪悪な思考によって、関係は完全に壊れてしまったのです。」
映像について
シンプルな映像では、ブッシュが二つの姿で登場しました。穏やかな詩のパートでは、黒いボディスーツに顔を覆うベールをまとった姿で、曲に登場する年上の女性を演じ、夫を象徴する大きなコントラバスと踊ります。ドラマチックなサビでは、露出度の高い戦士風の衣装で劇的に挑発的な動きを見せ、目を大きく見開き、危険なほど魅惑的な姿で、彼女自身の内なる誘惑者を表現しています。低予算のコンセプトを効果的に活用した手法でした。ブッシュは常に印象的なパフォーマーであり、ミュージックビデオを魅力的にするための様々な手法を模索していました。
アメリカではヒットしませんでしたが、「Babooshka」のシングルはオーストラリアで2位、フランスで4位、アイルランド、イスラエル、イタリア、イギリスで5位、ニュージーランドで8位を記録しました。英国とフランスでは100万枚以上を売り上げ、YouTube再生回数は4400万回、Spotify再生回数は1億5800万回を記録しています。
「Running Up that Hill」の大規模な再ブームの約1年半前、2020年末頃、このブッシュの楽曲はTikTokチャレンジの一環として注目を集めました。若い女性たち(そして数名の男性)が、楽曲のサビへの移行部分に合わせて口パクやパフォーマンスを披露したのです。その解釈は実に多様でした。
「Babooshka」において、ケイト・ブッシュは不信感や不貞といった馴染み深いテーマを独自の物語へと紡ぎ出しました。1980年に『ケイト・ブッシュ・クラブ』ニュースレターで彼女はこう語っています。「『Babooshka』は無駄な状況についての曲です。私たちがしばしば自らを破滅へと導く様子についての曲です」。その悲しみは確かに不朽の名曲を生み出しました。
(記事文章終わり)
Kate Bush – Babooshka の歌詞和訳
[Verse 1]
She wanted to test her husband
She knew exactly what to do
A pseudonym to fool him
She couldn’t have made a worst move
She sent him scented letters
And he received them with a strange delight
Just like his wife
But how she was before the tears
And how she was before the years flew by
And how she was when she was beautiful
She signed the letter
彼女は夫を試してみたかった
夫をどうしてやろうかと、心に決めていた
夫を夢中にさせる偽名
彼女は最悪なことをしてしまった
彼女は夫に香りのついた手紙を送った
夫は慣れない喜びとともに手紙を受け取った
彼の妻のように(装って騙そうとした)
涙に暮れる前の彼女のように
歳月を経る前の彼女のように
麗しかったときの彼女のように
それを彼女は手紙に記載しておいた
[Chorus]
“All yours
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
All yours
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya”
すべて、あなたのもの
バブーシュカ、バブーシュカ
すべて、あなたのもの
バブーシュカ、バブーシュカ
[Verse 2]
She wanted to take it further
So she arranged a place to go
To see if he
Would fall for her incognito
And when he laid eyes on her
He got the feeling they had met before
Uncanny how she
Reminds him of his little lady
Capacity to give him all he needs
Just like his wife before she freezed on him
Just like his wife when she was beautiful
He shouted out
彼女は追求して突き詰めたかった
偽名の彼女に惚れ込むかどうか確かめるため
彼女は会う場所を手配した
夫は彼女を見た時、以前に出会った感じがした
不気味にも、彼の愛らしい女性を思い起こさせた
彼が必要とするすべてを与える包容力
まるで、彼女が彼に背を向ける前の女房のように(魅力的に)
彼女が麗しかったときの彼の女房のように(魅力的に)
(夫が偽名の女性にのってきたため、正体を明かして、ここで大喧嘩が始まる)
彼は悲鳴を上げて叫んだ
[Chorus]
“I’m all yours
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
All yours
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
All yours
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya”
私はすべて、あなたのもの
バブーシュカ、バブーシュカ
私はすべて、あなたのもの
バブーシュカ、バブーシュカ
[Outro]
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
Babooshka, Babooshka, Babooshka-ya-ya
Babooshka-ya-ya
Babooshka
Babooshka
Babooshka
バブーシュカ、バブーシュカ
バブーシュカ、バブーシュカ
#
#
翻訳 Temperamental Instrument The Flute
#
翻訳はリーダーズ英和辞典(研究社)及び リーダーズ・プラス(研究社)を基本としています
